昔、ユッカヌヒー(旧暦の五月四日)には久米から泉崎にかけて露天の玩具市がたった。
沖縄の古い言葉で玩具をイーリムンと言い、ユッカヌヒーには親たちが子供の健やかな
成長を願って玩具を買い与える風習があった。

イーリムンは紙を使った張り子や木、竹、粘土等で作られていて、その中でも娯楽や芸能
文化を表現した張り子人形(フトゥキグァー)は人気があった。
フトゥキは仏のことで、愛着を込めてフトゥキグァーと呼び人形と同義語で使われていた。
大正末期からブリキやセルロイドで作られた玩具が登場した為、徐々にその姿を消したが
戦後、一部の人たちの努力でいつくかのイーリムンが復元され現在に至っている。

 縁起物や魔除け、また節句の飾り物として全国各地で作られている。
 作り方は型に紙を貼り重ねて乾燥させた後、型抜きを行い、成形や下塗りの工程を経て
 最終的な色づけを行う。
 ほとんどの部品を手作りで行い、その取り付けや部品ごとの色づけなど細かい作業が多く、
 各工程で発生する乾燥には天気や気温が大きく関係するため製作には時間がかかる。

 沖縄の張り子は代表的な郷土玩具の一つで、独創的な形や豊かな配色が多い。
 また一部の作品には唐(中国)文化の影響が色濃く残っているのが特徴で、各々の作品が
 持つ表情やほのぼのとした温もりが伝わってきて多くの人に親しまれている。
琉球玩具の概要
張子人形
【参考文献】
 ・ 永山絹枝著 沖縄の民芸 「玩具」